「ワクワクメール」を作った男は、鹿児島で生まれた。
決して経済的に余裕のある少年時代ではなかった。
母子家庭で育ち、いつも長時間一人で留守番をしていた。
楽しみは、台風だった。台風がもたらしたいつもと違う景色を見て心を躍らせた。
それは退屈な日常から飛び出す感動を求める原体験となった。
高校を出て進学した19の時にはアルバイトを4つ掛け持ちし、朝から晩まで働く毎日。
自分でお金を稼ぐ面白さを知った。大学を中退し、会社勤めをすることなく様々な商売をやってきた。お金に縛られた子供時代と違い、自分の力でどこでもいける。お金は、男を自由な気持ちにさせてくれた。稼いだお金を新しい商売に投資してもっと稼ごうと、夢中になって仕事した。世の中のいいものに対しての好奇心でいっぱいだった。
ただひたすらに、高みに登りたかった。